LTVとは、Life Time Value(ライフ タイム バリュー)の略称で顧客生涯価値の事を意味します。 LTVは「一人(一社)の顧客が、商品・サービス対して生成する生涯収益の推定値」になります。この推定値は、マーケティング予算、リソース、収益性など、企業の多くの経済的指標に加えて、販売およびマーケティングのコストなど、新しい顧客を獲得するために必要な投資を回収するのにかかる時間を予測できます。
1.LTV(顧客生涯価値)の重要性
一般的にどんな市場においても、競争が激化するほど新規の顧客獲得費用も増加していくものです。そのため、新規顧客獲得だけではなく既存の顧客のシェアを維持・拡大することは重要なテーマになりますが、新しい顧客を獲得するよりも既存の顧客を維持する方が費用がかからないため、LTVはという指標は全てのビジネスで重要視されています。
LTVを把握することは、企業が新規顧客を獲得し、利益を維持しながら既存の顧客を保持するための戦略を開発するのに役立ちます。
LTVが重要視されている背景には、既存の顧客を保持することよりも、新規顧客獲得の難しさが挙げられます。「1:5の法則」という言葉がありますが、新規顧客獲得にかかるコストは既存顧客を維持するためのコストよりも高く、新規の顧客を獲得するには、既存の顧客の5倍のコストがかかるという考え方です。
1-1.LTVを上げるのはマーケティング施策の大きな目標の1つ
LTVは顧客生涯価値という言葉通り、「顧客が生涯にもたらす利益」を表すものですので、これ自体が非常に重要な指標です。マーケティング施策の大きな目標の1つとして、LTVを上げるのは重要課題です。
上述したように、1:5の法則という考え方では、新規顧客への販売に注力し、多くのコストを掛けて時間を割くよりも、既存顧客へのリピート需要を喚起した方がマーケティング施策として効果的だといえます。
しかし、企業がより事業拡大していくためには、将来的な利益をもたらす新規顧客の獲得も少なからず重要な要素となるため、新規顧客と既存顧客のバランスが重要です。また、LTVは顧客獲得単価(Customer Acquisition Cost)の目標値を正しく設定するために活用することが可能です。
2.LTVを上げるには
LTV(顧客生涯価値)を上げるための基本的な考え方は、下記の施策を行うことです。
①顧客を引き付ける価値のあるコンテンツを提供する
メールマーケティングは顧客を維持するための最良の方法の1つですが、多くの企業は間違った方法で対処しています。顧客に送信するのに最適なメールは、製品およびサービスの価値を強調するものです。
会計サービスを提供する場合は、毎週または毎月メールを送信して、その月の節約にどれだけのお金を費やしたかをクライアントに伝えます。ヘルプデスクソフトウェアを提供する場合、クライアントに正常に解決したサポートチケットの数を通知するメールを毎月クライアントに送信します。環境に優しい製品を販売している場合は、顧客にメールを送信して、競合製品を使用することで二酸化炭素がどれだけ削減されたかを伝えてください。
上記はあくまで例になりますが、顧客を引き付けるために効果的なメッセージの鍵は、「その価値を見つけて、あなたの貢献を示す方法で顧客に提示すること」です。
②ハイエンドカスタマーサービスの提供
質の高い顧客サービスは、ビジネスの成長と顧客維持を促進するために必要な投資といえるでしょう。仮に、サービスが平均を下回っている場合、たとえ製品が平均を上回っていたとしても、顧客は競合他社に乗り換えてしまいます。また、消費者の3分の1は、顧客サービスが不十分な場合、サービスを切り替える可能性が高いことが明らかになっています。
そのため、顧客サービスを正しく行うことが重要です。より良いカスタマーサービスは、より良いカスタマーエクスペリエンスに匹敵します。次に、既存の顧客が長期クライアントになる可能性が高くなります。しかし、顧客維持率を高め、顧客の生涯価値を高める一流の顧客サービスをどのように提供するべきでしょうか?その方法を下記でご紹介します。
③オムニチャネルサポートを提供する
オムニチャネルとは、企業とユーザーの接点となるチャネルをそれぞれ連携させ、ユーザーにアプローチする戦略になります。顧客維持率を高め、顧客の生涯価値を高めるサービスを提供するには、ビジネスとして、できるだけ多くのチャネルで活動することが重要です。ほとんどの人が複数のデバイスを所有しており、定期的にデバイスを切り替えています。さらに、顧客の約66%が少なくとも3つの異なる通信チャネルを使用してサポートに連絡しています。
まずは、顧客が最も使用しているチャネルを調べる必要があります。電子メールと電話のサポートのみを提供していても、顧客がほかの通信チャネルを積極的に使用していては、良質な顧客サービスとはいえません。 理想は各チャネルを担当する異なるチームを編成することです。そうすることで、顧客の生涯価値を高めるサービスを提供することが出来ます。
④年中無休のサポートを提供する
顧客が質問やサポートリクエストに迅速に応答することを期待するのに対して、迅速に対応することは顧客満足度に影響します。それを実現可能にする最良の方法の1つは、24時間体制のカスタマーサポートを利用することです。24時間のサポート体制を整えるのは簡単な話ではありませんが、実際にそれだけの価値があります。しかし、24時間年中無休のサポートを提供できない場合は、顧客のリクエストにできるだけ早く対応できるようにすることが重要です。
⑤ソーシャルメディアの監視
顧客がソーシャルメディアでサポートを求めたり、苦情を残したりするのは、迅速な対応を期待しているからです。現状では、消費者の約84%がソーシャルメディアに苦情を投稿した場合、24時間以内に回答を期待していますが、さらにTwitterでは、実に72%の人が1時間以内に回答を期待しています。
タイムリーな応答が得られない場合、ユーザーはおそらくあなたのブランドやサービスに対する不満をソーシャルメディアで人々に伝えます。そういったリスクを考慮して、チームにはソーシャルメディアのコメントの追跡と返信に専念する少なくとも1人の従業員が必要です。これらの苦情に優先順位を付けることは良い出発点になります。
2-1.LTVには様々な要素がある
LTVの要素について確認しておきましょう。LTVには様々な要素があります。
・最初に何を買ったのか
・クロス率
・F2転換率
・定期継続率
・どの販売チャネルからきているか
これだけLTVの要素が多いと「どこから手を付ければいいのかわからない」と行き詰ってしまいます。そこで、LTVアップを達成するために、重要なのは下記の通りです。
LTVを把握することによって、結果的には顧客満足度の向上につながります。例えば既存顧客を維持し、解約を減らした状態で、新規顧客のLTVを上げると、会社の長期的な収益性が向上します。まずは解約を減らすために、さまざまなLTVセグメントに合わせた保持戦略を持つことをお勧めします。