こんにちは。しゅうさくです。(@saku5433)
あなたはお正月に「目標を立てた」ことはありますか?僕はあります。
この「目標を立てる」という使い方、実は間違った言葉使いなんです。正しい言葉の使いかたは「今年の目的を設定する」なんです。細かいですよね。そうなんです。細かいんです。でもね、この細かい違いがビジネスではとても大切なんです。
その理由を今回は詳しく説明します。
目次
1.目的と目標の違い
目的と目標は混同して考えられがちですが、ビジネス上の意味は全く異なります。それぞれの意味を明確に理解しましょう。
【目的】
実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。めあて。
※Weblio参照
一言で説明するなら、達成すべき使命です。英語で言えばGOAL(ゴール)。ビジネス戦略上では最上位の概念です。
【目標】
そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの。
※Weblio参照
一言で説明すると、目的を達成するために経営資源を投下するための的です。英語で言えばTarget(ターゲット)。
「目的は世界シェアNo.1で、目標はアメリカ」とした場合、目的はシェアNo.1を取ることで、そのために経営資源(戦力)を集中投下すべき目標がアメリカ。アメリカでシェアを奪えば、世界でシェアNo.1になれるという意味です。
2.目的の正しい考え方
ビジネスにおける目的とは、それ単体で使うことはなく戦略と戦術も同時に考える必要があります。その意味をこれから説明します。
2-1.「目的」は戦略・戦術の上位概念
「目的」の正しい考え方を説明するためには、まず戦術と戦略の意味を理解必要するがあります。戦略とは、目的を達成するための経営資源をどこに分けるかの選択です。そして戦術とは、戦術を実行するためのより具体的な計画です。
これらの戦略と戦術をふまえた上で「目的」を考えたとき、「目的」は常に戦略と戦術の上位概念になります。そして戦略と戦術は常に目的の下位概念になります。
目的 → 戦略 → 戦術
例をあげて説明すると次の通りです。
目的 :新しいゲームが欲しい
戦略 :次のテストで満点を取ろう
戦術 :勉強をする
大切なのは「目的、戦略、戦術」の順番で考えることです。
2-2.視点によって目的は戦術になる
通常、組織では目的を経営層が決定し、決定した目的から戦略と戦術が決められます。そして、戦略が組織の上層部から末端まで展開されます。経営層 → 部 → 課 → 個人という流れです。
こうして組織は統制を取り目的を達成しようと活動するのですが、ここで注意すべきことがあります。それは、当事者の視点によって目的が戦術になったり、戦術が目的になるということです。次の図をみてください。
これは、戦略のカスケードダウンと呼ばれるものです。図を見るとわかる通り、経営層レベルの戦術は部署レベルでは目的・戦略となります。また課レベルで見た目的は部署レベルで見ると戦略・戦術となりえます。
当事者同士のズレをなくすには、はじめに目的を確認することです。そして、目的を達成するための戦略と戦術の順で確認することがそれぞれの立場の齟齬を無くす方法です。
3.マーケティング・フレームワークを活用して目的を達成する方法
ここからはビジネスの目的を達成するため、マーケティング・フレームワークを活用する方法を紹介します。フレームワークとは、物事を理論的に考える時の基本的な思考法です。フレームワークを活用することで目的達成に必要な、戦略・戦術を整合性の取れたかたちで考えることができます。
3-1.フレームワークの全体像
マーケティングフレームワークを使った考え方の全体像は次の通りです。
0.戦況分析 :Assessing The Landscape(いまの状況は?)
1.目的 :Objective(達成すべき使命は?)
2.目標 :Who(誰に売るのか?)
3.戦略 :What(何を売るのか?)
4.戦術 :How(どう売るのか?)
これまで説明した通り、基本的な考え方は目的 → 目標 → 戦略 → 戦術の順番です。ここに、戦況分析が加わることでフレームワークとなります。詳しくは次で説明します。
3-2.戦況分析・目的・目標・戦略・戦術
戦況分析
戦況分析が何のために必要なのか?それは、市場の構造を理解し有利に活用するためです。世の中は全て構造的な仕組みで成り立っています。例えば、コンビニ。コンビニは商品を仕入れて、それを消費者に販売します。仕入れ先との関係や、フランチャイズであれば本部などとの利害関係など、何が何で決まっていて、どこをどうれば何がどうなるのか。
この構造を理解していなければ、目的を達成することはできません。もちろん、構造を無視した戦略ではうまくいくことはかなり難しいといえます。
繰り返しになりますが、戦況分析をする市場の目的は、市場構造を理解し失敗を避けるため。そして、市場構造を活用できる戦略がないかを立案するためです。
この戦況分析を行ううえで重要なことは、外部要因はコントロールできるものが少ないことを理解することです。そして、自社のビジネスに大きな影響を与える要因をあらかじめ特定しておき、それらに大きな動きがないか常にモニタリングしておくとことです。
目的 :Objective(達成すべき使命は?)
目的を達成するために、まずはじめにすることは目的を設定することです。当たり前ですが、目的によってその後の戦略、戦術は変わってきます。そのため、適切な目的を設定する必要があります。では適切な目的とは何か?
1.実現可能(頑張ればなんとか達成できる)
適切な目的は、頑張ればギリギリ達成できもの。目的が大きすぎると戦略が立てられません。逆に簡単すぎる目的は、誰も頑張らずに機会損失に繋がります。頑張ればなんとか達成できるのがポイントです。
2.シンプル
長くて、複雑で、覚えにくい目的は機能しません。誰でも理解でき、覚えることができ、すぐに思い出せる目的を設定することが2つめのポイントです。
3.魅力的
退屈でつまらない目的は、指揮を下げる恐れがあります。気持ちが入り、一人ひとりが奮い立つような目的を設定するのが3つめのポイントです。
これら3つのポイントを満たしたものが、適切な目的と言えます。
目標 :Who(誰に売るのか?)
目的を設定した後に行うことは、誰をターゲットにするかです。誰に売るのかが重要な理由は、2つあります。
1つは経営資源には限りがあるから。全ての人を相手にすることは、全てに資源を投下することであり、そうなれ一人当たりに使える資源はかなり薄くなります。そして、それはどう考えても現実的ではありません。
2つ目は、消費者によって商品・サービスを購入する確率に偏りがあるからです。簡単に言うと、直ぐに購入してくれる人がいれば、慎重に検討してから購入する人もいる。これが偏りです。
これら2つの理由から誰に売るかは非常に重要になります。間違っても全ての人を相手にする。つまりターゲットを絞らないということはやめましょう。
戦略 :What(何を売るのか?)
消費者があなたから、商品を買う必要がある理由(価値)を明確にすること。消費者は商品やサービスが欲しいのではなくて、問題を解決したいのです。あなたは、商品・サービスを購入することで得られる未来(ベネフィット)を提示してあげるのです。
戦術 :How(どう売るのか?)
戦術は、目標で設定したターゲットに、戦略で明確にした価値を届けるための方法です。戦術(How)は消費者の目に触れる部分です。ここをしっかりと作らなければ、消費者に価値を届けることはできません。ここの詰めが甘いと、最終的な結果には結び付かず目的を達成することもできません。そのため、徹底的に詰める気持ちを持って取り組みましょう。
消費者に価値を届けるために、一般的に使われるのが4Pです。4Pの詳しい内容はこちらの記事で説明していますので確認してみてください。
→マーケティング4Pの意味|正しい使い方
4.結論
ビジネスにおける目的は、達成すべき使命。目標はその目的を達成するために、資源を投下する的です。この2つを混同すると、認識に齟齬が生まれ話がかみ合わなくなります。また、当事者の視点によっても、目的・戦略が変わってくるため十分に注意が必要です。
加えて、今回は目的を達成するために、マーケティングフレームワークを活用する方法も紹介しました。もしあなたが、これまで何となく目的を立てていたのであれば、いますぐ活用することをお薦めします。あなたの目的達成のスピードが格段に上がるでしょう。あなたは、目的達成のためにまず何をしますか?